2001年のブランド創設から、三陽山長は常に
“ニッポン靴の最高峰”を体現するべく
研鑽を続けてきました。
その峰の頂点に掲げるのが、“謹製”の名を冠した
「プレステージライン」です。
歴史ある老舗タンナーが手がけた
希少レザーを惜しみなく用い、
ニッポン靴職人の精緻極まる技巧を
細部まで凝らして作り上げた一足。
それはまさしく“最高級の極致”
というべき仕上がりです。
手仕事と手間暇をたっぷりと費やし、
ビスポーク靴に迫るたたずまいを叶えた当作からは、
まるで伝統工芸品のような
オーラを感じていただけるはずです。
立ち上げから3シーズン目を迎えた今季、「プレステージライン」初となるローファーが誕生しました。三陽山長を象徴する木型「R2010」をベースとした新ラストを採用し、ローファーの軽快さとドレスシューズ同様の品格を兼ね備えた一足に仕立てています。優雅な曲線美を基調としつつ、洗練された知性をも感じさせる造形は、スーツからジーンズまで合わせる服を選ばない汎用性も魅力。リブテープを用いない三陽山長独自の「フレキシブルグッドイヤーウェルト製法」により、履き始めから抜群の柔らかさを味わえるのも特徴です。
日本人にとって理想的な美しさと快適さを追求した代表木型「R2010」をローファー用に調整したのが「謹製 弥七郎」に採用されている「R2010S」。土踏まずのカーブを若干なだらかにし、そのぶん甲のラインも低めに抑えることで、足を包み込むような履き心地を実現。さらに、抜けやすいヒールカップはよりコンパクトにすることで、優れたホールド感も発揮します。靴紐のないローファーは最適なフィット感を得るのが難しいといわれますが、こちらは別次元の履き心地を味わえるはずです。
「謹製 弥七郎」のアッパーは、付属物を除くとわずか3枚の革によって構成されています。その目的は、アッパーの継ぎ目を極限まで減らして美しさを突き詰めること。一般的な靴作りの場合、一枚の革からキズなどのない部分だけを細かく切り出し、それらを継ぎ合わせることで高品質を叶えます。しかし「謹製 弥七郎」の場合はひとつのパーツが非常に大きいため、より状態が良い革を厳選し、贅沢にカットして用いる必要があります。生産効率は下がりますが、最高の仕上がりを追求するため、妥協することは一切ありません。
最高峰の職人技を象徴する
「スキンステッチ」
世界でもごくわずかの職人しか行うことができない「スキンステッチ」をつま先に。厚さ数ミリの革に糸を通し、反対側へ貫通させないように縫い上げる技術です。
ニッポン靴ならではの
「矢筈仕上げ」
ソールのコバを三角形に削り出して仕上げる「矢筈」は、ニッポン靴ならではの技巧。一般的な平コバや丸コバに比べてキリリとエッジが立ち、シャープな印象を醸し出します。
「シームレスヒール」で
後ろ姿も流麗に
かかとに継ぎ目のない「シームレスヒール」は、曲線美をいっそう際立たせる効果があります。靴底をテーパードさせたピッチドヒールともあいまって、流麗な後ろ姿を演出。
これまでの「プレステージライン」と同様、アッパーのレザーはフランスの最高峰タンナー「HAAS」が手がけたもの。「謹製 弥七郎」にはユタカーフとよばれる、オイルを染み込ませたシボ革が用いられています。味わい豊かなヴィンテージ調の風合いに加え、しっとりとした手触りも特徴的。しなやかさに優れるため、履き心地のよさにも貢献しています。
2021年に誕生した「プレステージライン」は
これまで6モデルを発売してきました。
いずれも予想を上回る大好評をいただき、
現在は品薄状態。
そのアーカイブをご紹介いたします。
正統派ドレスアップに
合わせるなら
ブランドを代表するストレートチップを、最高峰のクオリティで表現した一足。日本人の足形に合わせた「R2010」ラストやサイドのスワンネックステッチ、小ぶりなトウキャップなど、ベースは定番作と同じながら、極上素材とビスポーク仕立てによって一格上のオーラをまとっています。土踏まず部分をグッと絞り込んだセミべヴェルドウエスト仕様により、いっそうグラマラスな曲線美を演出している点もポイントです。
アッパーのステッチを一切表に出さない「レベルソ仕立て」が特徴の「匠一郎」。それをプレステージラインのクオリティで表現したのが「謹製 匠一郎」です。大枠のデザインは同じですが、HAAS社の最高級ボックスカーフを採用し、リブテープを省くことで非常に優れた屈曲性を実現した「フレキシブルグッドイヤーウェルト製法」で仕立てるなど、最高峰のアップグレードを行なっています。アウトソールの側面を三角に削り上げた矢筈コバや土踏まず部分を立体的に絞り込んだセミべヴェルドウエストなど、細部までこだわりを詰め込みました。
アッパーのクオリティを最もダイレクトに活かせるのが、継ぎ目のないホールカットシューズ。キズや血筋を避けて大きくパーツをとる必要があるため、裁断が非常に難しいデザインです。加えてこちらは、唯一の継ぎ目をスキンステッチで仕上げるという、贅を尽くした一足。靴好きの方が見ればフツウじゃないことはすぐにわかる、玄人にも刺さるモデルです。
仕事から休日まで
履き回すなら
乗馬靴に由来するジョッパーブーツもプレステージラインとして登場。三陽山長のアーカイブをベースに約10数年振りに復刻した、通常ラインにはないデザインです。短靴以上に素材のクオリティと職人の技術が表れるといわれるブーツ。極上のHAASレザーを入念に吊り込み、その後しっかり時間をかけて木型に馴染ませることで、最高峰と胸を張れる仕上がりを実現しました。一般的なジョッパーブーツはストラップをぐるぐると巻きつけるデザインになっていますが、「謹製 定九郎」はストラップをやや短めに設計してモダナイズを図っています。
スーツからデニムまで好相性なダブルモンクシューズ。こちらはよく見ると、トウの一文字をステッチではなくつまみ縫いで表現しているのに注目。技巧を凝らしているだけでなく、トウが一枚仕立てのため非常に贅沢な仕立てといえます。周知のとおり「プレステージライン」はすべて、通常のグッドイヤーウェルト製法ではなくリブテープを用いない三陽山長独自の「フレキシブルグッドイヤーウェルト製法」を採用しているので、足馴染みも格別です。
こちらも既存の定番モデルをプレステージラインのクオリティにアップグレードした一足。最大の見どころはトウに施された「スキンステッチ」で、最高の職人技を象徴する意匠として広く知られています。これは、2枚の革をステッチでつなぎ合わせる際、革の裏側に針を貫通させずに縫い上げるという技法。革の厚さはわずか1㎜程度と聞けば、いかに超絶難度の技か想像できるのではないでしょうか。また、三陽山長の看板ラスト「R2010」を用いつつカジュアルなUチップに仕立てているため、合わせる服を選ばないのも本作の強みです。
「プレステージライン」の靴は、知る人ぞ知る名門タンナーの最高級カーフを採用しています。その名は「HAAS」。フランス・アルザス地方で1842年に生まれ、今なお家族経営を貫く希少なサプライヤーです。あまりに職人気質ゆえ大量生産を拒み、“いい革ができるときしか作らない”という頑固一徹な姿勢を堅持。それゆえ、飛び抜けたクオリティにもかかわらずその名があまり知られていないのです。三陽山長では、交渉を重ねて同社の素材を買い付けることに成功。適度なハリとしなやかさ、きめ細かな美しさを備えた、理想的なボックスカーフです。2021年春に登場したデビュー作3型には、非常に繊細な型押しを施した「水シボ」(左)革を、秋に加わった3作にはスムースレザー(右)を採用しました。ごくわずかな違いですが、比べてみると表情の差がわかります。